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自動車税について考える

日本の自動車税は世界的に見ても非常に高いことが知られています。

都市部を除いて多くの地域では生活の足として必需品でもある自動車ですが、購入費や維持費、保険費などだけではなく、各種の税金が利用者に重くのしかかります。

税法などを学ぶとよく聞かれる概念に「税と罰」というものがありますが、日本は国家の最大産業として自動車製造業を応援すべき立場なのに、なぜかそれに「罰」を与える形となっており、個人的には強い違和感を覚えます。

目次

税と罰という概念

上述の通り、昔から税を「罰」とみなす発想があります。

例えば日本の台湾統治時代の話では、麻薬を禁止しても闇市取引が横行するため、あえて合法化したうえで重税を課すことで自然に使用者を減らすことができたと伝えられています。

現代でも酒やたばこに高い税金がかけられているのは、健康被害による将来の医療費増を抑えるためという理屈が一定の理解を得られています。

このように「社会に負の影響を及ぼすものには罰としての税を課す」という考え方は、税制度を設計する上である程度の社会合理性を持っています。

自動車税の本質

一方で、自動車は酒やたばことは性質が異なります。

日本にとって自動車産業はGDP構成の約1割を占め、雇用創出や、輸出による外貨獲得に貢献しており、単なる嗜好品ではなく社会や産業の基盤です。

にもかかわらず、自動車には複数の形で税金が課されています。重量税と自動車税が重なり、購入時から保有中まで継続的に負担を強いられます。

しかもその税収の一部は道路整備や交通インフラに必ずしも使われているわけではなく、一般財源化されている部分もあります。つまり、自動車税は「利用者負担」や「環境対策」だけでは説明しきれない構造を持っているのです。

特に地方においては多くの人々にとって必需品であるがゆえに酒やたばこのように我慢して買わないというわけにはいかず、一定の需要が常にあります。

そのため政府としては「取りやすい税源」という側面が大いにあります。

矛盾点

ここにはいくつかの矛盾が見られます。

まず、自動車が経済を支える重要産業であるにもかかわらず、あたかも「罰税」のように扱われていること。
次に、取りやすい税源だからという理由で徴収されている側面が強く、政策意図が見えにくいこと。
さらに、環境性能に応じた優遇措置がある一方で、産業政策としての整合性には欠けています。

結果的に、自動車税は利用者にとって「納得しにくい税」の代表例になっています。

まとめ

酒やたばこの税には「健康被害を抑制する」という社会的な目的があります。

しかし自動車税の場合は、財源確保、環境対策、交通政策などが入り混じっており、その本質はあいまいです。

日本にとって自動車は経済の要であり、生活の基盤でもあります。

だからこそ「罰としての税」とは切り離して、どのような目的で課税するのかを明確にし、納得感のある制度設計が必要なのではないでしょうか。

個人的には、同じ矛盾点を「消費税」にも感じています。
消費税には功罪ともにあり、富の再分配という側面もあるので完全に否定することはできませんが、経済の健全な成長のために不可欠な「消費」というプロセスを罰する(税を課す)というのはやはり歪な税制度だと思うのです。

自動車税と同じく、今やあって当たり前となってしまった各種税金について、一般人である我々も今一度その意義や在り方について考えてみたほうが良いかもしれません。

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この記事を書いた人

Shinobu

サラリーマンをしながら地道に投資をしています。
文章を書くのが好きです。
独学でプログラミングを勉強中です。

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